もし子供がサッカーをもっと上手くなりたいと切望するならば、チーム練習の回数を増やすのではなく自主練習(以下、自主練)をお薦めします。自主練のメリットは、チーム練習だけでは補えない個人技術の習得に効果的ですし、なにより「上手くいく方法を自分で試行錯誤する」事、この経験が後の行動に重要な影響を及ぼします。ちなみに自主練は誰かに教わるよりも一人で行わなくてはいけません。自分一人で試行錯誤することがとても重要なのです。今回は自主練のメリットを記載します。

■成功体験を積み重ねることが出来る

何事に対してもネガティブな人がいます。「どうせ出来ない」「そんな事は自分には無理」と何もしていない状態で諦めてしまう人です。人生は大なり小なりチャレンジの連続です。現状より少しでも良いものを手にしたいならば、やはりチャレンジが必要です。将来を考えてレベルの高い学校を受験する、将来はJリーガーになりたいから強いチームのセレクションにチャレンジする、このような子はその時の結果はどうあれいつか希望する何かを手に入れるでしょう。

それに対しチャレンジが出来ず自分の殻に閉じこもってしまう子は大人になってもチャレンジする事ができません。ネガティブな思考は成功の足かせとなり、そもそも成功とはチャレンジしなくては始まらないので、チャレンジする前に諦めてしまっては成功する可能性はゼロです。いつまで経っても現状を変えれないのです。

ネガティブな人は何故そのような心理になるのでしょう?それは成功体験が無いからです。小さな事でも成功体験があるとその積み重ねが自信になり、「やってみれば何とかなる」と前向きな思考になるのです。自主練はその小さな成功体験を積み重ねる良い訓練になります。例えばたった一人で練習する自主練で、リフティングを100回やる!と決め、それが成功した瞬間は叫びたい気持ちになりますし、次はこれにチャレンジしよう!と自然に次の目標を自分で設定します。成功すれば次、また成功すれば次と、どんどんチャレンジするようになります。これが成功体験を積み重ねる事になり将来、目の前に難題が現れても乗り越える意思が沸きあがるのです。

■問題解決のプロフェッショナルになれる

自主練をする目的は何かしら課題があり、それを解決したいから行うはずです。その考えを紐解くと「課題を解決したい」→「何が足りないのか?」→「どうすれば良くなるのか?」、このような思考になります。

例えば、「サッカーがもっと上手くなりたい!」→「そのためにはもっとボールを扱えるようにならなくてはだめだ」→「ボールを上手く扱えるようにリフティングを100回できるようにしよう!」と考えてリフティングを100回できるように練習するのです。

そして100回できない場合は、「なぜ失敗してしまうのか?」→「足のどこでボールを扱ったらきちんとコントロールできるのか?」→「試しに足の甲でやってみよう!」となり、それでまた失敗した場合は次の方法を自ら考えます。

この行動をビジネス的に書くと、

1.目標:サッカーの上達

2.目標を達成するために必要な要素(仮説):ボールコントロールの上達

3.目標を達成するための手段:リフティングの練習(目標100回)

4.手段の実行方法:足の甲でリフティングする

5.実施、検証

そして、

6.検証結果:失敗

7.失敗の原因、次の手段:足の甲でボールをコントロールするのは難しい、足の内側も使ってやってみる

このように「目標」を設置し、それを実現するために「仮説」と「方法論」を考え、「実行」と「検証」を繰り返し「目標の実現」を目指します。これはまさに戦略コンサルタントが実行する「仮説検証プロセス」です。彼らはどのような問題に対しても解決のために仮説を立て、その検証を繰り返し解決への最短距離を導きます。

例えばあるホテル事業の経営の立て直しが命題となった際に、売上が100億あれば解決できるという仮説と目標を立て、100億実現の方法論を検討して実行します。途中の検証でそれが実現不可能または間違っていると気付いたならば速やかに次の方法に移行し、また検証を行います。

規模こそ違いますが、その考え方の基本は自主練で培う事ができるのです。そしてこの考え方はコンサルタントだけでなくビジネスマンであれば身に付けるべき思考です。どのようなビジネスであれ、顧客の問題を解決する事で対価が支払われます。ビジネスは、この原理を理解して実行できる人が評価される世界です。

少々飛躍した記事になってしまいましたが、自主練による効果はその競技だけでなくその後の人生においてとてもにプラスに働きます。何気ない自主練でもこれほどの効果があるのです。子供たちにはたくさん自主練して、多くの成功体験と問題解決の方法を経験してほしいですね。

投稿者 松尾