たまに保護者の方からこんなことを言われます。
「私がサッカーを知らないので、子供にアドバイスできなくて・・・」
と、とても残念そうにおっしゃります。おそらく家で子供が上手くプレーできなくて悩んでいる時、または練習を見た時に第三者の目として何かしら言ってあげたい気持ちになるのでしょう。子供想いの優しい方ですね。少しでも子供の力になりたいと思っているはず。しかしそれが出来ない歯がゆさがあり、上記の言葉が出てしまうと思われます。
また中には子供の自主練に付き合って、一緒にボールを蹴るけれど上手くアドバイスできないと悩むお父さんもいらっしゃいます。一緒にボールを蹴ってくれるお父さんがいるだけでも幸せな事だと思いますが、しかしそのお父さんからするとやはりジレンマがあるようです。
クラブではこのような方向けに「お父さん向けのサッカー教室」と「お母さん向けのサッカー教室」を開催しています。ここでは実際にお父さんお母さんが生徒となりサッカーの練習を行います。技術向上のコツをお教えしますので、子供たちとボールを蹴る時にそのコツをお伝えいただければと考えています。インサイドキックのパスにしても、子供に伝わりやすい言い方があるのです。興味があれば参加ください。
とはいえ必ずしも保護者の方がサッカーを知る必要は無いとも考えています。必要なことは普段の練習で私たちが指導していますので、後は自分で考え実践することで上達します。例えば子供が自主練している時に保護者の方が
「インサイドキックはこうやって蹴れ!」
「ドリブルはこうやってやるんだ!」
と言うよりも、
「インサイドキックはどうやったら正確に蹴れるのかな?色々試しながらやってごらん?」
「ドリブルがもっと上手くなるにはどうやったら良いのかな?」
と問い掛けた方が良いと思いませんか?きっと子供たちは彼らなりに試行錯誤して練習するでしょう。その繰り返しが技術を習得することに役立つのです。そしてここには保護者の方のサッカーの知識も経験もありません。
サッカーにはボールを扱う技術や体力だけでなく、「考える技術」も必要です。試合中では相手チームと自チームの力関係を総合的に判断して、効果的な攻撃と守備のやり方を瞬時に考えなくてはいけません。そしてその考えに基づき、自分が関与できる効果的な攻撃と守備をこれまた瞬間的に想定する必要があります。とても大雑把に書きましたが、サッカーではこのような大局的、俯瞰的な視点から両チームと自分を見る必要があり、そこには「考える技術」が必須です。言われた事しかやらない、できない子、何でも教えてもらえる環境で育った子は、レベルが高い環境に行けば行くほど厳しくなるでしょう。技術的、肉体的な才能があれば中学生までは活躍できるでしょうが、高校生でレベルが高い環境になると「考える技術」を身に付けていない子はまず活躍できないでしょう。
「考える技術」を身に付ける・・・これは小さい頃から自分で試行錯誤する経験が無いと身に付けれらません。思うに、サッカー経験が無い保護者の方がサッカーをする子供の力を伸ばせるのではないでしょうか。保護者の方がサッカー経験者であれば、きっと我慢できずに簡単に答えを教えてしまうのかと(笑)。