現在J2の東京ヴェルディには、下部組織からたくさんの選手がトップチームに昇格しています。これはチームの財政の問題(あまりお金が無いので有名な選手を獲得できないのです)もありますが、ユースチーム(高校生)に有望な選手がたくさくいるのもその理由です。

これまでの東京ヴェルディは、ユースチームから選手を昇格させることは他のチームよりも多かったのですが、一段と多くなったのは現在23歳の高木、杉本選手たちからです。彼らは高校卒業後多くの選手がトップチームに昇格し、チームもサポーターも彼らに期待を寄せました。

というのも1993年生まれの彼らは中学生から有名で、国内で無敵の強さを発揮していました。高校生となるユースチームでもその強さはより一層磨きが掛かり、クラブチームの日本一を決める日本クラブユース選手権で二連覇し、天皇杯予選では大学生だけでなく社会人チームにも勝利していてます(残念ながら東京都の決勝戦で負けてしまいましたが)。東京ヴェルディのサポーターは、トップチームよりユースチームの方が強いのではないか?と言う人も多かったほどです。

そんなチームの主力たちがトップチームに昇格し、数年後はとても強いチームになるだろうと期待するのは当然のことです。何しろ中学生、高校生の時から国内では敵無しの状態でしたから。もちろん年代別の日本代表にも選ばれ、彼ら自身も将来の日本代表を現実的な目標としていたでしょう。

しかし物事はそう上手くいきません。23歳という選手としては決して若くない年齢になるにつれ、日本代表どころかJ2下位の東京ヴェルディでもレギュラーとは言えない状況です。本人たちは決してやる気が無くなっているわけでもなく、常に高い目標を掲げて努力を続けています。それでも中学生や高校生の時のような活躍ができません。ではトップチームの環境や相性が悪いのかというと、そうでもなく。同時期にトップチームに昇格した選手で他チームに移籍していった選手は何人もいます。その選手たちも同様に頭角を現すことができないのです。

経験ある指導者であれば、その選手の将来はある程度の予測はできます。しかし正確な予測は誰にも出来ません。中学生、高校生の時にどれほど活躍してもトップチームでは活躍できないこともあり、また中学生、高校生の時は全くの無名選手でも徐々に実力を伸ばし、トップチームで活躍することもあります。

現在の実力が全国レベルであっても地区大会レベルであっても、努力し続ける事が最低限の条件であり、努力を怠った者が振るい落とされていきます。またチャンスはいつどこにあるかさえもわかりません。そのチャンスを掴み取った者がプロになり、しかしプロになったとしてもそこではまた激しい生存競争があります。

日本では今、様々な少年サッカー大会が行われています。そこで勝ち上がっていく選手たちはこれからも慢心する事なく、弱いチームの選手たちには諦める事なく努力を続けてほしいです。将来の事は誰にもわからないのですから。

投稿者 松尾