本日の練習でとても嬉しいことが。
来年卒業する六年生の子が次の進路が決まったとのことで報告の挨拶に来てくれました。その子がこのクラブに在籍していたのは三年生のころの約一年間でしたが、わざわざ来てくれたことは本当に嬉しく、しかしこれまでの態度を思い返すと妙に納得するところも。
その子がどのような理由でこのクラブに入ったのかは忘れてしまいましたが、それまでのチームでは物足りなかったようで新しいチームを探しているとのことでした。練習中のプレーを見れば、確かにスピードや技術に優れており、へたなチームではそうなるだろうなと感じたのは覚えています。
しかし他のチームから来る多くの子と同様に、その子も何かに追われているように一心不乱にドリブルし、スピードだけで相手を抜こうと、その局面を打開しようとします。が、トップスピードのプレーはミスが発生する可能性が高く、またそのようなプレーだけでは必ず壁にぶち当たってしまうのです。ですので、その子にはスピードを上げないでスピードと方向の変化でドリブルするようにと何度も伝えました(覚えてるか分かりませんが…)。
そのうちに力任せのドリブルだけでなく、スピードの緩急を身に付け、そうなると視野も広がり状況判断も良くなり効果的なパスも出せるようになってきました。元々上手なその子はそうなると手が付けられなくなり、その頃から監督とはよく「あの子はうちではもったいないね。どこか移籍を薦めてみる?」と事あるごとに話した次第です。そして選手登録が発生する四年生への進級が近づいて来たころ、私たちが保護者の方に移籍の話しをしようとした矢先に、先方から移籍のためにクラブを辞める決断をした話を伺いました。
移籍先のクラブはこの地区では競合チームで相手の指導者の方も良く知っている方で、私たちには引き留める理由は一切無く、監督からそのチームに指導をお願いしますと連絡し、気持ち良く送り出せました。
その後も試合会場では何度か見かけたのですが、一番驚いたのは五年生の大会でしょうか。これまでの課題であった無鉄砲なプレーが影を潜め、しかし勝負どころでは自分から積極的にドリブルで局面を打開し、それ以外のところではリスクを考えていたのか、強引なプレーでボールを取られてしまう可能性が高いプレーはせず、より得点の可能性がある味方に効果的なパスをするなど戦術的な理解が飛躍的に進み、選手として一回りも二回りも大きくなっていることに驚きました。「たった一年でこれほどまで・・・」と驚愕したのは今でも鮮明に覚えています。
日々の練習を見ていないので簡単には言えません。もちろん本人の葛藤はたくさんあったでしょう。それでも良い指導者がいる良いチームに行ってくれたなぁと安堵した次第です。
その子はそれほど身長は高くなく、スピードがあるといってもずば抜けて速いわけではありません。その子が一番優れていたのは何よりも上手くなりたい、絶対に負けたくないという強い気持ちです。それ故に自分が上達するためのアドバイスに対してはとても純粋に聞いてましたし、練習中以外でも常にサッカーのことを考え行動していました。
競合チームでキャプテンをやるまでになったその子のことを「才能」の一言で論じてしまうのはとても失礼なこと。それだけ努力したきた証であり、「才能」の一言で片付けてしまうのは、六年生では関東トレセンに選ばれ、Jリーグの下部組織の数チームからスカウトされ浦和レッズレディースを選んだ彼女の実力を見誤ってしまいます。このまま誰よりもサッカーに対して純粋に向き合ってもらい、誰よりも上手くなりたいという気持ちを持ち続けてくれれば将来は必ずなでしこ日本代表になれるでしょう。サッカーやスポーツなどで成功した一流選手は誰よりも礼儀を大事にすると言います。約一年間しか在籍しなかった私たちにも挨拶に来てくれた彼女、将来成功する条件は既に備わっています。
近くで試合をする日は必ず応援に行くし、これから誰よりも君を応援するよ。
がんばれ!あみ!