高学年クラスに他のチームで試合に出場し、西が丘でも練習している子がいます。とても素直で思いやりがあり、そして真剣にサッカーに取り組んでいる子ですが、4年生のころから様子が変わってきました。それまでの明るい性格は影を潜め、試合形式の練習ではチームメイトに文句ばかり言うようになり、言い訳が多いプレーはその子の可能性を狭めるものでした。

私たちも練習では都度注意するのですが、土日の他チームの影響なのか週一回の練習では改善されることはなく、そもそも私たちの言葉もその子に届いていない気がしていました。またそのチームの試合を見る機会があったのですが、その時はなんと試合中にもかかわらずチーム内で口喧嘩している始末です。その光景からいつも伸び伸びと楽しそうにサッカーをやっていた姿は微塵も感じることができず、いっそのこともうサッカーを辞めた方が良いのでは?と思ったほどでした。

しかし今年の春ごろから徐々に変化してきました。本当にゆっくりですが、練習中に笑顔が見れるようになり、チームメイトに掛ける声も励ます声が聞こえ始めます。保護者の方に聞いたところ、どうやらコーチが代わり、新しいコーチのもとで試合に励んでいるとのことでした。

そして今年の夏合宿で決定的な変化が見られます。夏の合宿では通常の練習とは違い、体力を向上させるメニューを組みます。また試合では自立と協調性を求め、体力的にも精神的にも厳しい環境に彼らを追い込みます。そのような中で、これまでチームメイトよりも自分を優先していた彼は、脱落していく仲間に手を差し伸べ、試合では自ら率先してチームを引っ張り、優れたリーダーとして活動し、もう大丈夫だなと深い安堵を覚えた始末。

最近の練習では、私たちの言葉も届くようになり、とても良い雰囲気で練習をしています。そして当然その実力も伸びています。これまでのうっぷんを晴らすように見るたびに上達しています。驚くほどの上達スピードです。代わったコーチの方がとても優秀なのでしょう。

上記に記載しましたが、元々は素直で思いやりがあり、サッカーに真剣に取り組む子。環境が整えば簡単に上手くなるのです。そして環境が悪いと全く違う子になってしまいます。今回のことで実感しましたが、指導者の声は本当に子供に響き、その一挙手一投足の全てが子供に影響するのです。この事を痛感した最近の出来事。他人事で終わらせるのではなく、指導者の教訓としなければいけませんね。

投稿者 松尾