さて保護者の方から興味深いご質問をいただきました。せっかくなので皆さまにもご紹介いたします。

 

ご質問:「所属しているチームの試合と西が丘で出場した試合で子供のプレーが違うように見えるのはなぜか?」

これは他チームに所属している子が当チームにも入会し、当チームで練習試合に出場した際の親御様のご感想です。このご質問は以前からよく聞かれるのすが、まずチームの方針が違います。この方針とはわかりやすく言うと試合に勝つことの優先順位です。試合に勝つためには相手より多く得点を取り、失点するリスクを最大限に減らさなくてはいけません。その為の特徴的なプレーとして、自分達のゴール前付近にボールがある時間を無くし、すばやく相手側コートにボールを移し失点のリスクを減らすプレーがあります。

具体的には、自陣で奪ったボールをとにかく大きく素早く相手側コートに蹴りこみます(これをサッカー用語でクリアすると言います)。このプレーには奪ったボールを正確に味方にパスする技術や、パスを出す味方を探す技術、パスを出した後のポジション移動を行う戦術眼などは一切ありません。メリットはありますが、デメリットもあります。

当クラブではこのようなプレーは推奨しておりません。このボールを大きく蹴りだすプレーを否定はしませんが、ドリブルやパスなどで状況を打開した際には大きな賛辞を送ります。しかしまだ子供なので失敗する可能性の方が高く、これが原因で失点し負けた試合はそれはもう数多くあります。

それでもこのプレーを推奨しないのは当クラブが試合に勝つ事をそれほど重要と思っていないからです。目の前の試合に勝つよりも一つでも出来るプレーを増やし、将来の可能性を広げる事を優先しているからです。

当クラブで練習試合に出場した際には、周りの子もこのようなプレーをするので、日頃他チームで出場している子も同じようなプレーになるのでしょう。面白いのが、失敗して失点しても誰が文句は言わず、逆に大きく蹴りだすプレーをした際には「蹴るなよ!」「そんなプレーするなよ!」など子供たちから指摘されます。彼らからするとせっかく奪ったボールをなんで簡単に相手に渡しちゃうの?という感覚かもしれません。

このようにたった一つのプレーだけでも勝利の優先順位により大きな違いがあります。その他にもたくさんの違いがありますので、二つのチームのプレーに違いが出るのは当然の事ですね。

しかし誤解いただきたくないのが、試合に勝つ事を否定しているわけではありません。試合に勝つ事により自信が芽生え、目覚ましい成長をする場合も多くあります。子供が成長する過程には数多くの道があり、どの道も「サッカーの上達」という目標は一緒です。幸いにもこの地域には色々な特徴を持ったチームがあります。要はチームの方針により、子供たちのプレーに違いが出てくるのは当然で、しかしどのチームの子供たちを成長させようとしているのは同じです。という事を言いたいだけです。

余談ですが、どのチームがどのような特徴なのか?試合中の指導者の指示内容でわかります。大会などでたまには相手チームの指導者の指示を聞くこともサッカーの楽しみ方の一つです。

投稿者 松尾