レスチ西が丘BONITAに所属する女子選手の特徴として、とにかく一生懸命にプレーをするという良い特徴があります。
練習でも試合でも、手を抜くことなく常に全力でボールを追いかけるその姿勢は、指導者として、そして一人のサッカーファンとして、心から素晴らしいと感じています。この「一生懸命さ」は、間違いなく彼女たちの最大の武器です。
しかしその一方で、この「一生懸命さ」が故にプレーに余裕がなくなり、ある課題に直面していました。
それは、ドリブルをする際にボールしか見えなくなってしまうことです。ボールを失いたくない、なんとか前に進みたいという気持ちが強すぎるあまり、どうしても目線が足元のボールに集中してしまいます。
その結果、相手ディフェンダーのポジションや、周りにいる味方の選手の状況を把握することができず、プレーが単調になってしまっていました。予測しやすいドリブルは相手にとって格好の餌食となり、簡単にボールを失ってしまう場面が少なくありませんでした。
この状況を打破するために、私たちは今、チーム全体で「とにかくゆっくりプレーする」という、一見すると逆行しているかのような意識付けを徹底しています。特に、攻撃面でのトレーニングでは、この「ゆっくり」がキーワードです。
例えば、1対1の練習では「歩くようなスピードで相手を抜くこと、そして歩くようにゴールを決めるのが理想だ」と繰り返し伝えています。
また、2対1の練習でも同様に「歩くようなペースでパスを回し、ゴールを決めること」を理想形としています。もちろん、これは攻撃側の話であり、ディフェンス側は常に全力でボールを奪いに来ることが大前提です。このプレッシャーの中でいかに攻撃側が「ゆっくり」と、そして「冷静」にプレーできるかが重要になります。
この一風変わった練習を続けた結果、選手たちに変化が見られるようになりました。
まず、ドリブルにとても余裕が生まれました。以前はボールしか見えていなかった選手たちが、顔を上げて周りを見ながらドリブルできるようになりました。
スピードを無理に上げるとミスが多くなることに自分たちで気づき、スピードを上げずに相手の逆を取る、巧みなドリブルが身についてきたのです。
パスに関しても同様の変化が見られます。常に周囲の状況を把握できるようになったことで、相手と味方のポジションや状況を的確に判断し、非常に精度の高いパスが出せるようになりました。
味方が走り込むスペースへ、相手が嫌がるタイミングで意図のあるパスが増えてきたのです。
最近の試合形式の練習ではまさにこの練習の成果が凝縮されています。ディフェンスはこれまで通り全力で、そして攻撃陣は「ゆっくり」と余裕を持ってプレーすることで、非常に質の高い攻防が繰り広げられています。
選手一人ひとりが状況を判断し、考えながらプレーすることが当たり前になりつつあるのです。
このトレーニングを継続していけば、彼女たちは間違いなく、もっともっと上手くなります。今はまだ成長の途中ですが、一人ひとりがサッカーの本当の楽しさ、奥深さに気づき始めていることを、指導者として大変喜ばしく感じています。
これからのレスチ西が丘BONITAの選手たちの成長が、本当に楽しみです。
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