私たち指導者は、日々のトレーニングや試合のピッチサイドで、単に技術の巧拙や試合の結果だけを追っているわけではありません。目の前で繰り広げられるプレーの一つひとつ、そして選手の表情や振る舞いの中に、その選手の持つポテンシャルや、目覚ましい「成長の兆候」を見出そうと、常に観察眼を光らせています。

選手の成長プロセスは、決して一様ではありません。一直線に伸びる時期もあれば、停滞しているように見える時期もあります。個々の選手の発育発達段階や、それぞれが持つ個性・特性を考慮に入れ、多角的な視点からその成長を評価することが、我々指導者に課せられた重要な役割だと考えています。

この記事では、私たち指導者が具体的にどのような視点で選手のポテンシャルや成長のシグナルを捉え、日々の指導や育成プランに繋げているのか、その一端をご紹介したいと思います。保護者の皆様や選手自身にも、我々の観察ポイントを知っていただくことで、日々のトレーニングや試合への取り組みに対する理解を深め、より建設的な関係性を築く一助となれば幸いです。

【1.成長の多角的評価フレームワーク:我々指導者の視点】

選手の能力や成長を評価する際、我々指導者は単一の指標に頼ることはありません。サッカー選手として必要な要素を、大きく以下の4つの側面から統合的に評価することを基本としています。

  • テクニカル(技術):
    • ボールコントロール(ファーストタッチ、ドリブル、キープ)、パス、シュートといった基本技術の習熟度はもちろん、それらを合中の様々な状況下で、プレッシャーを受けても的確に、かつ創造的に発揮できるかを注視しています。特定のスキルだけでなく、多様な技術を適切なタイミングで選択・実行できる応用力が重要です。
  • タクティカル(戦術):
    • チームとしてのゲームモデルやプレー原則をどの程度理解し、ピッチ上で表現できているか。オフ・ザ・ボール時のポジショニングや動き出しの質、攻守の切り替え(トランジション)における状況判断のスピードと的確さ、そして周囲の状況を認知し、未来を予測する能力などを評価します。個人のスキルだけでなく、チーム全体の中で機能できる戦術眼が求められます。
  • フィジカル(身体):
    • サッカーという競技の特性に必要なアジリティ(敏捷性)、スピード、持久力、パワーといった要素に加え、ボールや相手との接触場面で見られるボディバランス、身体操作の巧みさ(コーディネーション能力)も重要な評価項目です。また、自身のコンディションを理解し、トレーニングや試合に向けて主体的にコンディショニングに取り組む意識も評価の対象となります。
  • メンタル/ソーシャル(心理・社会性):
    • 技術や戦術を支える土台となる部分です。目標達成に向けた意欲や粘り強さ、新しいことや困難な状況に挑戦する姿勢、プレッシャー下での精神的な強さ、失敗から学び次に活かす回復力。さらに、チーム内でのコミュニケーション能力(要求、コーチング、励まし)、リーダーシップやフォロワーシップ、規律を守る姿勢、仲間や相手、審判へのリスペクトといった社会性も、アスリートとして、また一人の人間としての成長を示す重要な指標と捉えています。

これらの側面におけるポジティブな変化や行動変容は、たとえ小さなものであっても、選手が着実に成長している重要なシグナルであると、我々は認識しています。

【2.日々のトレーニング・試合における観察ポイント】

では、具体的にどのような場面で、これらの成長を観察しているのでしょうか。

  • トレーニング: 新しいスキルや戦術的課題に対して、どのように理解しようとし、試行錯誤しているか。コーチからのアドバイスを素直に聞き入れ、プレーに反映させようと努力しているか。困難な課題に対してもり強く取り組む姿勢が見られるか。また、仲間と協力したり、教え合ったりする場面での関わり方も観察しています。
  • ゲーム形式の練習/試合: トレーニングで繰り返し実践したスキルや戦術理解を、プレッシャーのある実戦的な状況でどの程度発揮できるか刻々と変化する状況の中で、的確な状況判断に基づいた意思決定できているか。与えられた戦術的役割を理解し、遂行しようとしているか。ミスをした後の切り替えの早さや、精神的な立て直し。チームとして連動したプレーへの意識なども重要な観察ポイントです。
  • トレーニング外(ピッチ外): サッカーのプレーだけでなく、練習前の準備や後片付けへの主体的な関与、用具の管理、挨拶や返事といった基本的な行動規範、仲間やスタッフとのコミュニケーションの取り方なども、選手の人間性や社会性の成長を見る上で重視しています。

これらの多岐にわたる観察を通じて、選手一人ひとりの個性、長所、そして現在抱えている課題を把握し、個別の声かけや、より効果的なトレーニングメニューの立案、ポジションの検討などに繋げています。

【3.評価とフィードバック:成長を加速させるコミュニケーション】

観察によって得られた評価は、選手の成長をさらに加速させるための重要なコミュニケーションツールとなります。

我々は、単に「良かった」「悪かった」という結果を伝えるだけでなく、どのような点が成長しているのか、どのような努力や挑戦がそのプレーに繋がったのかを具体的に言語化し、選手自身の頑張りや進歩を承認することを大切にしています。

フィードバックにおいては、「Good & Better」の形式を用いるなど、できたこと(Good)を認め自信を育むと共に、さらなる成長のための具体的な課題(Better)を建設的に提示します。これにより、選手が自身の現在地を客観的に認識し、次の目標設定や行動へと繋げやすくなるよう促しています。

【4.長期的視点に基づいた育成哲学】

我々指導者は、目先の試合の勝敗に一喜一憂するのではなく、常に選手の長期的な成長を見据えた育成を心がけています。

特に育成年代においては、勝利至上主義に陥ることなく、選手の発育発達段階に応じた適切なトレーニング負荷と課題を与え、将来トップレベルで活躍するための基礎的なスキルや戦術理解、そしてサッカーを楽しむ心を育むことを最優先に考えています。

特定のポジションやプレーに早期に特化させること(早期専門化)のリスクも理解しており、時には様々なポジションを経験させたり、サッカー以外の活動を奨励したりすることもあります。

そして何よりも、サッカーという素晴らしいスポーツを通じて、技術的な向上だけでなく、目標達成能力、問題解決能力、協調性、自律性、フェアプレー精神といった、社会で生きていく上で必要となる人間的な資質を育むことこそが、我々指導者の重要な責務であると考えています。

【最後に】

私たち指導者は、ピッチ内外における選手のあらゆる側面に目を配り、多角的かつ長期的な視点を持って、その成長を見守り、育成に取り組んでいます。単なる技術の評価者ではなく、選手の持つ無限の可能性を信じ、それを最大限に引き出すためにありたいと考えています。

保護者の皆様には、こうした我々の視点をご理解いただくことで、日々の練習や試合の見方が少し変わるかもしれません。そして、お子さんの成長を共に喜び、時には課題に一緒に向き合う、より建設的なパートナーシップを築かせていただければ幸いです。

LESTE西が丘BONITAは、これからも選手一人ひとりの個性と成長に寄り添い、サッカーを通じて豊かな人間性を育む育成環境を提供できるよう、スタッフ一同、情熱を持って取り組んでまいります。

 

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投稿者 松尾