昨年のJリーグは横浜Fマリノスが優勝しました。その前は川崎フロンターレが二年連続で優勝してます。この2チームとも、スピードや体力を全面に押し出したサッカーではなく、しっかりとしたボールコントロールの技術を主体とし、チームでボールを保持しつつ、相手の弱点を見極めそこから攻め込むというポゼッションスタイルといわれるサッカーです。

今年の高校サッカーで優勝した静岡学園も同様のスタイルで、その高い技術は観ている人にワクワク感を与え、エンターテインメント的な楽しさを観客に与えていますね。

プロサッカー界においてはこのようなエンターテインメント的な要素があるサッカーは「美しく勝つサッカー」と呼ばれ、観客がお金を払って観る価値がある、技術と戦術を高めサッカーを発展させるという認識のもとに多くのコーチがその実現を目指しています。

現在では横浜Fマリノスのアンジェ・ポステコグルー監督であったり、川崎フロンターレの鬼木監督、前監督の風間氏、札幌のミハイロ監督、だけでなくJリーグの多くの監督、チームがこのようなサッカーを志向しています。
また世界に目を向けても、FCバルセロナは当然として、マンチェスターシティ、リバプール、レアルマドリードなどメガクラブと言われるチームも同様にフィジカルに頼らないサッカーをしています。

もちろん日本代表も同じです。世界で勝負するにはフィジカルに難がある日本人では到底太刀打ちできない故に、このようなサッカーを志向するのは理にかなっています。

ではこの「ポゼッションスタイル」のサッカーを成す要素を簡単にまとめてみましょう。

・相手にボールを奪われないボールコントロール技術
・相手にボールを奪われない為のポジショニング
・有利なポジションにいる味方を探す視野の広さ
・相手の弱点を突く戦術眼
・これらを主体的に行える判断力と行動力

細かな事は他にも色々とあるでしょうが、大まかにまとめるとこんなところでしょう。さて、重要なのは私たち指導者はこれらを理解した上で小学生のトレーニングに落とし込む必要があるという事です。
日本のサッカーや世界のサッカーが一昔前のアフリカンサッカーのように強靭な肉体とスタミナを武器に走り回るサッカーであれば、トレーニング内容は変わってくるでしょうが、それでは日本人は世界に通用しないでしょうし世界の潮流とも逸脱しています。育成年代の指導の使命は「将来、活躍する選手を育てる」事以外は無いわけですからね。

さて上記を踏まえ、小学生年代ではどのようなトレーニングをすれば良いのか?これはもう一目瞭然ですね。未成熟な筋力や骨の発達を促すためにフィジカルトレーニングはもちろん必要ですが、主眼を置くのはやはり技術的なトレーニングです。ボールを止める、蹴る動作を素早く正確に行える技術、自由自在にボールを操ることができるドリブル技術、その瞬間に正しいプレーを選択できる判断力、味方と相手、客観的に状況を俯瞰して見ることができる視野の広さ。そして主体的にプレーする積極性です。

とはいえ、技術を優先した指導をすると言っても指導するポイントは子供一人一人違いますし、今習得しなくてはいけない技術やプレーも子供の成長度合いによってバラバラです。指導者は上記の主旨を念頭の置きながら、子供一人一人の成長を把握してトレーニングメニューを考えたり声掛けをする必要があります。

指導者にとっては難しい作業になりますが、クラブの子供たちが将来の日本代表になることを夢見てがんばらなくてはいけませんね。

投稿者 松尾