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技術も体力も今後の伸びしろが見え始める六年生のこの時期。これから彼らに必要になってくるのは「賢く戦う」ことです。中学生や高校生になって新たなチームでたくさんのチームメイトや相手チームとの差をつけるならば頭を使って効果的なプレーをしなくてはいけません。どれほど技術や体力が優れていても、やはり上には上がいます。そこを覆すならば上記のプレーが出来なくてはいけません。

そのようなわけで本日の試合前に彼らには
「一対一で絶対に負けない、ゴールを奪う、奪われない、とにかく負けないために頑張る、これらのことはやって当たり前でその上で賢くプレーするようにしよう。」
と伝えました。とはいえこんな抽象的な言葉で理解できる人はまず居ません。そこで具体的に以下のように伝えてます。まずゴールキーパーであれば、相手の攻撃の特性を察知すること、例えばディフェンダーから一気にロングボールを蹴ってくるチームであればキーパーはどのようなポジションをとるのか?サイドからのセンタリングを主体するチームであれば、細かなパスやドリブルを主体するチームであれば、どのようなポジションをとり、味方にどのような指示を出すのか?
ディフェンダーは、対峙する相手の特徴は?利き足は?足が速い選手であれば、ドリブルに優れた選手であればどのような対応をするのか?マークの着き方は?相手を追い込む方向は?
ミッドフィールダーやフォワードは、対峙する相手の特性は?相手のディフェンスラインの高さは?等々これらを試合開始から10分で把握し、試合の中で修正を施すように課題を与えた次第です。

これらは小学生には少々難しいミッション。しかしこのようなことを試合中に取り組む癖を付けないといつまで経っても出来るようになりません。何十年に一人の逸材であれば、このようなことは無意識に出来てしまうかもしれませんが、そこまで飛び抜けた個性が無い彼らにはこのようなプレーをしなくてはこれから先はとても厳しいでしょう。しかし逆に考えるとそこまで飛び抜けた何かを持っていなくても、このように考えながらプレーできる選手は必ず芽が出てきます。

試合ですが、格上の相手に完敗しました。それでも私の目にはポジティブな要素しか映りません。キーパーのとも君は相手のFKで失点しましたが、その後の修正は見事でしたし、ディフェンスへの具体的な指示も高いレベルで出来るようになりました。ぶな君は試合中に自らの判断でポジションを変更してますし、その結果がどうあれ自ら考え自主的に行動したことが100点満点の評価です。そうど君も足の速い相手に対応を間違えて失点しましたが、その後はプレーが改善され同じような失敗がありませんでした。そう、結局5失点しましたが同じパターンでは失点していないのです。これは各自がそれぞれ考え、失敗から改善した結果だと思います。上記の子だけでなく、他の子も試合中に試行錯誤を繰り返し改善できた(しようとした)ところが見れましたし、試合後に話を聞いたところでは何かしら考え改善しようとしていたので、もう何も言うことはありません。この取り組みを忘れずに継続してくれることを願うばかりです。

小学生の今は失敗から学ぶことが何よりも重要です。中学生、高校生、大学生、ましてはプロチームなど大人になるとなるほど負けることが許されなくなってきます。強豪と言われる高いレベルのチームはまさにそうです。今は負けることが許される時期なので、たくさん負けてたくさん学ぶことが最優先されます。そもそも小学生の試合では、技術や戦術よりも体格の差で勝負が決まることがほとんどです(本日の対戦相手だったスペリオ城北さんは、それほど大柄な選手がおらず、質の良いサッカーをしてましたね。お見事です)。ですので勝敗よりもその内容がとても大事になるのです。

なお負けることが許されると書きましたが、漠然と試合をして何も改善する姿勢も無く負けることはもちろんダメです。その意味では本日の試合は実りある試合でした。六年生の試合は残り少なってきましたが、一歩ずつ成長してくれればと思います。

投稿者 松尾