10月頃から始まった、各ジュニアユース(中学生のクラブチーム)のセレクションも一通り終わり、クラブチームに行く子もほぼみんな行先が決まったようです。

上記のようにジュニアユースチームに行く子もいれば、中学校の部活でがんばる子もいます。どちらが良いかはわかりません。環境、設備、素晴らしい指導者がいるジュニアユースに行っても本人が努力しなければ、指導者のいない部活で精一杯がんばった子に抜かされることもあるでしょう。先ほど記載しましたが、選手の成長において重要なのは「環境」「設備」「指導者」です。しかし何より重要なのは本人の気持ちです。がんばる事は最低限必要なこと。誰よりも上を目指したければがんばる質を向上させなくてはいけません。

常日頃から自分の長所と短所を考え、長所を伸ばすにはどのような練習が必要か、短所を補うにはどのような練習が必要なのか、考え、実行し、再度考えてさらに実行する。このサイクルを休む間もなく回し続けなければ良い選手になれません。

以前から指導の現場では「コーチに言われたことはできるけど、自分から考えて状況を打破できる選手が少なすぎる」と言われています。これは指導者が教えすぎている傾向もあるでしょうが、子供たちが何かを工夫して遊ぶ機会や減っていることや、保護者の関わり方も昔と違っているのが原因と言われています。よって教えすぎない指導が今の指導のトレンドであり、ハングリー精神の養い方は永遠の問題になっています。しかし、この特徴は先進国で見られる傾向があり、物が揃っている、食べるのに困らない国では、物が無い時の工夫やハングリー精神の欠如はよく聞く話しです。

ですので私はこの国の子供たちに必要なのはハングリー精神などではなく、知恵と目標に向かう純粋なエネルギーだと考えています。知恵は知識と柔軟な発想によって成り立つものであり、その為には勉強が必要だと思っています。私の立場から勉強をやれ!と言ったところで説得力が無くあまり響かないのは残念な限りですが、これからもできる限り言い続けてみるつもりです。そして目標に向かう純粋なエネルギーは、とにかく素直であること。斜に構えてどうせできるわけがないという姿勢では何も成しえません。自分の可能性を信じて目標や夢に向かって一直線に進む姿勢が必要です。しかし上記に記載した通りがんばるだけではダメで、その質を向上しなくてはいけません。思考して、やってみて、失敗したらその原因を考え、またやってみる。このサイクル(ビジネス用語ではPDCAサイクルと言いますね)を繰り返し行うことで確実に実力は向上します。このサイクルの特徴は何と言って考える癖がつき、何においても考えて実行できるようになるのです。

Jリーガーのインタビュー記事を読んでも、中村俊輔、遠藤やっと、小野伸二、日本代表キャプテンの長谷部選手などは思考の塊です。練習でも試合でも常に成功への方程式を考え、私生活でも頭の中はその思考で一杯です。そこまで考えるか!と驚くほど考えるので身体的な特徴が無い選手でもあれだけ偉大な選手になれるのでしょう。

さて話しは冒頭の話しに戻りますが、進路自体はそれほど重要ではなく、次の進路先で、いえ今から何に向かって、どのように努力するのか?その積み重ねが彼らの将来を決めます。近くで見れない寂しさはありますが、彼らを信じて見守りましょう。

投稿者 松尾