3月がそこまで迫っており、最近は4月から始まる子供たちの大会の通達がたくさん届き、大会に向けて徐々に気持ちが高まっています。結果はどうあれ、各学年それぞれの大会が有意義なものになってほしいと願っています。そしてこの経験が彼らの将来に何らかの形で役立ってもらえれば、それほど嬉しいことはありません。

さて、面白い本を読みました。その本によれば国連の推計では2050年までに日本の100歳以上の人工は100万人を突破する見込みであり、2007年に日本で生まれた子供の大半は107年以上生きることが予想されているとの事です。

この本には長寿化のメリット、デメリットが記載されており大変参考になる内容なので現在小学生の子供がいる保護者の方にはぜひ読んでもらいたい本です。

興味深いのが、職業生活に関する考え方で、教育→仕事→引退というステージにおいて、寿命が長くなれば当然仕事のステージが長くなり(22歳まで教育で23歳から80歳まで仕事?)、これまで(特に私の親世代、俗に言う団塊の世代ですね)のように一つの会社に何十年(もしかしたら60年!)も勤めるのはあり得なく(さすがに飽きてしまう)、様々なステージを経験することになると予想されています。

これまで「自分探しの旅」という気ままに、中には現実逃避の旅行などあまりポジティブに受け止められない行動がありますが、今後は節目節目でこのような「旅」を行い、新たな価値観を身に付けそれを仕事に転換する作業が必要になってくるそうです。要は同じ会社に居る事はもちろん、同じような仕事を60年、70年も続けるのは精神的に無理な話しであり、長い人生の要所要所でリフレッシュをして自分の視野や価値観をブラッシュアップする必要があるのです。

ではなぜそのような事が必要なのでしょうか?それはより良い賃金を得るためです。今後は単一労働単一賃金が進められ、賃金の(低水準の)単一化、ロボット化などで労働における環境が激変する事が予想されます。そのような環境では常に市場に身を置き、市場の価値を勘定し、自分の価値を高める必要があります。どの市場がこれから伸びるのか?自分に合っている市場(仕事)は何か?これらを考え行動する事で安定的で比較的高い賃金を得られるようになります。

そして高い賃金を得なくてはいけない理由は、老後の生活資金の確保です。引退が早まればそれだけ老後の生活資金が必要になってきますので、引退後も何かしら社会との接点を残し、いくらかでも収入がある生活が望ましと記載されています。企業の厚生年金や国の年金などは期待できない、というより無くなるでしょう。そのような環境では自力でお金を稼ぐ術を身に付ける必要があるのです。ただ今の子供たちが大人になる頃には、もしかしたらベーシックインカムが導入されている可能性もあるので、働き方に関しては良くも悪くも様々な可能性があります。

いずれにせよ、問題は多くの事が変わる可能性があり、私たちの親世代は当然、私たち世代の価値観や生き方の選択、キャリアの考え方が全く参考にならないという事になるのです。

「私たちの時はこうだった!だからあなたもこうしなさい!」

などと言う事はこれからは子供に言えなくなります。私たちの親世代の高度経済成長期は一つの会社に長く勤めてその会社で出世するのが成功パターンでしたが、IT企業の出現によって、より良い待遇の会社に転職を繰り返す新しいパターンが出現し、一つの会社に長く勤める文化が崩壊したのが私たちの世代です。そして今後はより混沌とした世界になり、これまでに成功パターンが参考にならず自ら模索して進んでいく宿命にあるのが今の子供たちです。

どのように進んで良いかわからない環境において、重要とされるのは選択肢の幅を持つ事と本に記載されています。一つの生き方に縛られない、リスクヘッジを考えた生き方が今後のトレンドになりそうです。今の会社を辞めたら生活できないではなく、辞めて次を探す旅に出たり、いくつかの仕事を掛け持ちしたりする世の中になりそうです。

そのように考えると、今私たちが指導する上でテーマにしているのが「選択肢」であり、年始の保護者会で毎回説明しているように、サッカーだけではなく、サッカーでプロを目指せて、良い会社にも行ける、または何かしらの専門家になるなど、サッカーを辞めたら何も残らない人間でなくて、将来のどこかで自分のキャリアを選択する際に様々な選択肢を持っているような子供を育てたいと宣言しています。それがあながち間違ってなさそうだなと少しだけ安堵しました。

ただ彼らの考え方を変える、柔軟にする取り組みはまだまだ弱いと感じています。これからはより自立や論理力、自己分析などのチカラを付けさせなくてはいけないと考えてます。しかしサッカーだけでそこまで教えるのは難しいかなとも思い、壁にぶつかっているのも事実です。

現在のクラブはサッカーだけでなくコアトレやヨガなど様々な事業を行っています。これは地域の方々の健康促進や雇用の確保を目的として行っていますが、いつかは子供たちの生き方に良い影響を与える事業を行う必要があるでしょう。今の小学生があと100年生きるとして、彼らが晩年に楽しい人生だったと思えるような影響を少しでも与える事ができれば・・・。

それにしても今後は大変な世の中になりそうです。ちなみに子供たちだけでなく、私たち世代(40歳中盤)も100歳まで生きる人が多くいるそうです。60歳で定年など出来そうもありません。生活のためにもっと働く必要があります。でもせっかく働くなら自分の好きな事をして収入を得たいですね。

投稿者 松尾